『言』の記録

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未来への警鐘 2004.4

一人の野党の国会議員としてその職責を果たすため、政府の方針や施策にチェックを入れる、国会での質疑の中で足らざるところを追求し、自ら議員立法という形で考えをまとめています。政治家とは、未来や後代にも責任をもつとするならば、私はこの国の形に警鐘を鳴らしたい。
 参議院議員としての議員活動の中で、特に懸念している点は、あまりにもこの国の形の中で市場原理・効率主義の影が大きくなっていることです。小泉政権の誕生以来、マスコミで脚光を浴びていた竹中大臣もアメリカナイズされた考え方で、グローバルスタンダードの大きなしかも速い流れに日本は飲み込まれようとしている。
 市場経済は、安心である国産の食料より、安価な輸入農産物を指向し、我が国の食料自給率は四〇%と先進国中でも最低の状況である。その上、消費者が受け入れるからという経済的理由から、過剰包装、大量廃棄をいとわない世界一のゴミ大国になっている。
 一つ一つの点をあげると、いくぶん感情的かもしれないが、世界で飢えに苦しんでいる人がたくさんいる中で、我が国ではおびただしい量の食料や食品を廃棄している。しかも世界各地から船や航空機を使い運ばれた食物の多くは、胃袋に入らず、ゴミとなっている。食物、ゴミを運ぶために多量の化石燃料が使われ、CO2を排出している。さらに、ゴミは超高額が投じられた焼却場で燃やされ、少量といえども望ましくない副産物であるダイオキシンを廃出している。必要以上の量の食料を運び、廃棄物と化した食物の運搬でガソリンを使ってさらに環境を悪化させる。飽食と過栄養が原因で成人病が増大し、医療費とGDPを押し上げていく。このような経済循環によって支えられている日本のあり様に大きな危惧を持たざるを得ない。
 日本人は「経済大国」という甘い言葉に酔い、誰からも尊敬されていると勘違いをしているのではないか。未来の人類から軽蔑される道を歩んでいるのではないだろうか。経済効率の優先から、人口は都市部へと吸収され、高度経済成長で豊かさを得ることができた。しかし、若者は故郷で働く機会を狭められ、農地や森林は荒廃し、放置されている。資本主義を否定もしないし、お金を使う行為はたしかに楽しい。しかし、この国をもっと賢い国にしたい。
 経済効率だけで計れないものに森林があるが、森林環境の破壊が進んでいる。かつて綺麗に整備された森林は、建築土木の資材を供給し、木材は高値で取り引きされ、燃料として高い価値があった。しかし、外材との価格競争に敗れてから以降、森林整備はおざなりにされてきた。森林がもつ多面的な価値は、木材供給という経済的価値以外にも、空気・水の浄化、水源の涵養、治山や治水、農業・漁業への貢献、さらに地球温暖化対策において森林吸収源の目標達成や、雇用の創出など高い価値をもっている。可能性と将来性を今も十分にもつ森林整備に大きな予算を振り向け、国産材や間伐材の利用にインセンティブを与えるなど、思い切った政策が必要だと考えています。
 私は、環境と持続可能な社会を考え、人の心と法律というルールの調和を尊び、未来に対して責任を負う政治家でありたい。
(尾崎行雄財団「世界と議会」2004年4月号から転載)

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